(よし! はまりそうなやつ全部持ってきたぞ!)
大きな風呂敷を引きずって、喜一は積み木の軍団を扉の前に連行した。ほぼ無いに等しい肩を上下させて、ぬいぐるみは床に座り込む。が、扉の窪みに目を向けて再度立ち上がった。
(早く帰りたいし、頑張って一個一個終わらせる)
大きく膨らんだ風呂敷から積み木を取り出し、一個、また一個と穴に当てていく。穴に嵌まらぬ個体が床に散らばった。小さな台によじ登っては降りて、よじ登る。作業を繰り返すうち、ようやく二つの穴は塞がった。
床に降りた喜一は、積み木が刺さらぬように静かに両手で散った三角柱を風呂敷に戻す。瞬間、猫型の影が一気に濃くなった。
「何?」
扉の窪みは消え、代わりにひらがな五十音のパネルが出現していた。
「なんでもありなんだぁ」
気の抜けた声を出しながら、貴一はまた徐に台にまた腹ばいに乗り上げる。ボタンを操作し【ああああ】と入力する。送信された画面にすぐさまバツ印が浮かび上がった。
「じゃあここに答えを打ち込むと……」
【いじょう】が送信された。画面には先ほどと同じくバツ印が浮かんでいる。
「答えはイジョウじゃないの?!」
小さなぬいぐるみは途方に暮れてバツ印を見た。

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